
結論から言うと、複数の業者やAIサービスを併用してBPO(業務の一部を外部に委託する仕組み)を進める場合、最初に「誰がどこまでを担うか」を文章と表で明確にしておくことが欠かせません。口頭やなんとなくの合意のまま進めると、後になって抜け漏れや二重作業が発生しやすくなるためです。御社がこれから業務委託を広げようとしているなら、契約前のこの整理作業にこそ時間をかける価値があります。
1人で会社を運営している方や、まだ管理部門が小さい会社ほど、複数の委託先を抱えると管理の手間が増えがちです。この記事では、なぜ役割分担の整理が必要なのか、どう進めればよいのかを順を追って説明します。
経理処理、問い合わせ対応、データ入力など、業務ごとに得意とする業者やツールは異なります。そのため、1社にすべてを任せるよりも、業務の性質に応じて複数の委託先を組み合わせたほうが、結果として質と費用のバランスが取りやすいことがあります。たとえば、定型的な入力業務はAIを活用したサービスに任せ、判断が必要な顧客対応は人によるBPOに任せるといった組み合わせです。
一方で、業者が増えるほど「どちらが対応すべきか分からない」という事態が起きやすくなります。たとえば、問い合わせの一次対応をA社が行い、二次対応をB社が行う契約になっていても、振り分けの基準が曖昧だと、両社とも対応しない、あるいは両方が対応してしまうといったことが起こり得ます。こうした状態が続くと、御社の社内に「誰に確認すればよいか分からない」という負担が残ってしまいます。
役割分担を決める前に、まず業務をどの単位で区切るかを決める必要があります。工程ごとに区切るのか、商品やサービスの種類ごとに区切るのか、時間帯ごとに区切るのかによって、適切な分担の仕方は変わります。業務フローを一度書き出し、どこで業者が切り替わるのかを視覚化しておくと、後の整理がしやすくなります。
複数の業者が関わる場合、情報がどこを通って誰に渡るのかも事前に決めておく必要があります。たとえば、顧客からの問い合わせ内容をAIツールが一次整理し、それを人によるBPOチームが引き継ぐ場合、どのタイミングで、どのような形式で情報を渡すのかを具体的に決めておかないと、情報が途中で止まってしまうことがあります。
役割分担表には、最低限「業務名」「担当業者」「対応範囲」「責任の所在」「連絡先」の5項目を入れることをおすすめします。項目を増やしすぎると管理が煩雑になるため、まずはこの基本項目から始め、必要に応じて追加していく形が現実的です。
責任範囲を書くときは、「対応する」「対応しない」だけでなく、「どこまでは対応し、どこから先は引き継ぐか」という境界線を明記することが重要です。以下は、2社を併用する場合の役割分担表の一例です。
| 項目 | 業者A(AI活用型) | 業者B(人による対応) |
|---|---|---|
| 主な業務 | 定型入力・一次対応の振り分け | 判断を伴う顧客対応 |
| 対応時間 | 24時間稼働 | 契約で定めた稼働時間内 |
| 引き継ぎ条件 | 一定の条件に該当した場合 | 業者Aからの引き継ぎを受けて対応 |
| 報告先 | 御社の担当者 | 御社の担当者 |
このように整理しておくと、業者同士のやり取りだけでなく、御社の社内での確認もスムーズになります。
注意:役割分担表は一度作って終わりにせず、業務内容や委託範囲が変わるたびに更新する必要があります。更新を怠ると、表と実態がずれてしまい、かえって混乱の原因になることがあります。
役割分担は、契約時に決めた内容がそのまま長く機能し続けるとは限りません。業務量の変化や新しいサービスの追加によって、分担の見直しが必要になる場面が出てきます。月に1回程度、関係する業者と御社の担当者で簡単な確認の場を設けておくと、ずれを早めに発見しやすくなります。
見直しが必要になるきっかけとしては、問い合わせ内容の傾向が変わった、対応件数が大きく増減した、新しい業務を追加で委託することになった、といったケースが挙げられます。こうした変化があったときは、役割分担表だけでなく、契約内容そのものの見直しも併せて検討するとよいでしょう。
以下は、役割分担を見直す際に確認しておきたい項目です。
基本的には、委託する側である御社が全体の調整役を担う形が一般的です。業者同士を直接やり取りさせる契約もありますが、その場合でも、最終的な判断は御社が行える体制にしておくと安心です。
AIツールは定型処理を速く正確に行える一方、判断が必要な場面での引き継ぎ条件を明確にしておく必要があります。条件が曖昧だと、本来人が対応すべき案件がAI側に残ってしまうことがあるため、事前の条件設定が重要です。
複数の業者やAIサービスを併用してBPOを進める際は、業務の切り分け、情報の受け渡し経路、役割分担表の作成、そして運用後の定期的な見直しという流れを押さえておくことが大切です。東京都千代田区をはじめ、全国で業務委託の形は多様化しており、1社だけに頼らない体制を組む企業も増えています。どの組み合わせが御社に合っているかは、業務内容や規模によって異なりますので、個別の事情に応じて検討する必要があります。
当社では、東京都千代田区を拠点に、AIと人によるBPOを組み合わせた業務委託のご相談を承っております。役割分担の整理や委託先の組み合わせ方でお悩みの際は、どうぞお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。